『…今夜も来たのか』

ムウさんのその言葉に、少し心が傷ついた。

”今夜も”

それは「来るな」と言われているのと同じ意味なのだろう。


でも拒絶の言葉を掛けられても
僕はそれに応えることは出来ない。


だって。










抑えられないこの気持ち 3



「貴方はムウさんなんです、絶対に」


「”絶対”…に?」

「―はい」



僕は絶対に間違っていない。
今まで自分の考えや決断に幾度も不安を感じてきたけれど、
今回だけは言える、絶対の自信をもって。
―貴方はムウさんなんだと。


暗い室内に聞こえるのは、
アスランの寝息だけ。
沈黙はしばらくして破られた。


「…頑固なんだな、お前って」
「前にも言われたことあります、貴方に」




「負けたよ、おいで」




戒められていなかったら、きっと腕を広げてくれていただろう。
そう思ったら僕は。

ムウさんの胸に飛び込む前に、
身をかがめ、彼の両手を取る。
そして、戒めに一度口付けをし、それを解いた。


「おい、いいのか?」
僕の行動に焦ったムウさんの問いに僕は頷き返した。




「逃げるかもしれないぜ?俺」
「―その時は、僕も一緒に」










胡坐をかいた彼の上に跨り
今までを取り戻すかのように口付ける。
唾液を交し合う音と、衣擦れの音。
時折聞こえるアスランの寝息に、自分がとんでもないことをしでかしていることを
実感させられて、余計に体が熱くなった。
久々に貴方を受け入れる身体は悲鳴を上げたけれども
それでも僕は止めようと思わなかった。
寧ろずっとこのままでいられたら、そう願っていた。
「声、…我慢、できなかったら、噛み付いても、いいぞ」
律動を与えながらの僕を気遣う言葉に甘えることにする。
「っ…ん・・ぅふっ・・・」
感覚だけじゃない。
僕の体が、貴方はムウさんだと言っている。
僕の肌に馴染む貴方の肌。
かすかに聞こえる貴方の荒い息づかい。
僕のナカにいる貴方の存在感や、
腰を打ち付けるリズム。
全てが、証拠。
貴方がムウさんである、証拠。


限界が近いことが知れたのか、
それともムウさんも限界が近いからなのか。
多分両方なのだろうけど。


腕で僕の膝裏を救い上げ、両手を僕のお尻に添えて。
目いっぱい密着するように。
僕も貴方をもっと奥深くまで感じられるように。



「ッ―――!!」
「―くッ」








貴方の右肩は、僕の涎にまみれくっきり歯型が残ってしまった。
「大丈夫か?」
心地良い低音が耳をくすぐる。



「…約束…」
「ん?」



腰の気だるさと、心地良い疲れと、背中をさする貴方の手の動きに
僕は眠気に引き込まれそうになりながら、
貴方に縋りついた。






「逃げる時は…僕も、一緒に…」





―貴方からの返事を待たずして僕は眠りの世界へと。



end




ちょっとだけTV版を妄想してみました。
赤いナイト君は隣のベッドで
こんなことが行われていることには
全く気づいていないのですよ!
彼なら、ありえそうなので良しとします。
2005.07.30



       

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