チョコより甘く
          苦い君。(4)












僕はいつもより性急にフラガ少佐を求めた。
決して恥ずかしくないわけじゃない。
恥ずかしいけど、今日は何よりも甘えたくて、少佐が欲しかった。
こういった性的なことに関して、僕は話をすることすら苦手だし、多分皆よりオクテだと思う。
そのオクテの僕が、自分から少佐の首に腕を回し、そして舌を絡ませている。
時間を見つけて週に何度かの少佐との逢瀬。
いつもは少佐のしてくれることを、ただ受け入れるだけなのに、
今日は違う。




「今日はやけに積極的だな、キラ?」
キスの息継ぎの合間にフラガ少佐が人の悪い笑みを浮かべる。
そんなイジワルな口は塞いでしまうに限る、と僕はキスをより深くした。
そして少佐の制服に手を掛ける。
いつもは気づくと僕だけが脱がされていて、少佐は制服の前がはだけるくらいだ。
「お?今日はキラが脱がせてくれんの?」
そういって、少佐が腕を上げてくれたので僕は少佐のシャツを一気に抜き取る。
目の前に現れる逞しい体。
呼吸が乱れてきている。
先程の激しいキスの所為だけではないことは、判っていた。
思えば、こうして少佐の体をまじまじと見ることは初めてかもしれない。

首から肩にかけて、程よく筋肉が付いている。
軍人だから当たり前なのかもしれないけど、肉体美という言葉がピッタリと当てはまっているように思う。
それから厚い胸板。
立っているとちょうど僕の顔はこの胸板の辺りなのだ。
この胸に抱きこまれると、不安や恐れなどは一切吹き飛び、安堵感という幸せに包まれる。
鍛えられた腹筋ででこぼこしているお腹。
そして…
僕の視線は腹より下にうつる。
自然と口の中に沸いてきた唾液を、ごくりと飲み込んだ。
その音が少佐に聞こえたのか含み笑いをしつつ、続きをせがむかのように言った。

「キラ。」

その呼びかけは、まるで術をかけるかのようで。
僕はその声に魅かれるままに、少佐のズボンのボタンをはずした。









キラが服を脱がせてくれるなんて、明日は砂漠でも雪が降るんじゃないかと思ってしまう。
でも、こんなチャンスは滅多にない、と堪えきれない嬉しさでにやける顔。
今すぐにでも押し倒したい衝動に駆られ、キラに手を伸ばしたが、理性を総動員させなんとか抑えた。
抱きたくないわけではなく、キラのこの行動の一切を見てみたいのだ。

そして、その伸ばしかけた手で、キラの頭を撫でてやったその時。

「!!」

俺は幻覚を見ているのかと思った。
キラが俺のズボンのボタンをはずし、そしてジッパーを口で銜え下げ始めたのだ。
俺のソコは、もう既に少しふくらみを持ち始めていて。
じ、じ、とジッパーを下げる音と共に、キラの熱を孕んだ息も下へと移動する。
ジッパーを全て下げ終えたキラが、情欲の炎をともした瞳で俺を見上げ、
そしてその紫色の瞳が俺を更に煽った。


「キラ…シて?」
「!!///」




顔を赤らめたが、俺の要求を拒むことなくキラは次の行動へと移る。
俺のアンダーへと手を掛けるが、どうやら手に力が入らないらしく、
既にかなりの大きさに育ってしまったオレが邪魔して、苦戦しているようだ。
俺も腰を少しだけ浮かせて手助けをしてやる。
その助けを借り、キラはようやくオレをアンダーから取り出すことが出来た。


「ひゃぁッ…んッ」


勢いよく飛び出したオレがキラの頬を打った。
その衝撃に一瞬目を瞑るキラ。
しかしすぐにオレに手を添え、かわいらしいピンクの舌をちろっと出し一舐めした後、
先端を口に含ませた。


「んんっ…んむぅ…」


キラの小ぶりな口には、先端を含んだだけで一杯になってしまう。
少し苦しそうな表情を浮かべながらも、それでも夢中でオレを銜え、
含みきれない根元の方は指でわっかを作り、上下に動かしている。
キラの口の周りは唾液とオレの精液で濡れているのに、
未だ襟元さえも緩められていないストイックな制服姿とのギャップに
俺は今すぐにでも押し入りたい衝動を唾を飲み込むことで何とかやり過ごした。

「んぅ…」
時折口の端から漏れるキラの声。
いつからなのか、切なげに揺れているキラの尻。
俺はその可愛らしい双丘に手を伸ばし、そして揉みしだいた。

「あんっ…」

俺の手の動きに反応しキラが口を開いたのを見計らって、俺がキラの口から自身を引き抜くと、
どうして?と縋るようなアメジストが向けられる。

「今度は俺の番。」
「あっ!」

俺の股の間にうずくまっていたキラの肩を押し、今度は俺がキラに覆いかぶさる。
真っ暗な部屋の中で、キラの紫色の瞳が扇情的に揺らめくのが見えた。
「…んっ」
貪るようなキスにキラが夢中になっている間に、制服を脱がせる。
ぱさりと乾いた音を立て制服が床に落ちたが、唾液を交換し合う濡れた音にかき消された。
唇を離しても、銀色の糸で未だなお繋がっている。
たくし上げられたアンダーシャツで、見え隠れする胸の飾りが酷くいやらしかった。
キラの足を開かせるために膝裏へと手を伸ばしたとき、自分のポケットに普段はない異物の感触を得る。
左手でキラの膝を開かせながら、右手でポケットのものを探り出した。


…チョコレート?


バレンタインデーが近いということで、食堂のバスケットに「ご自由にどうぞ」と置かれてあったのを思い出す。
2枚の薄いスクエアチョコは、忘れ去られていたこともあり、かなり溶けていて、クリーム状になってしまっていた。








「ひゃッ///・・・あ、な・に?」

突然何かを胸の突起に塗りつけられて、僕は慌てて首だけ起こした。
暗いからよく見えないのだが、すぐに甘い香りが鼻につき物体の正体はすぐに分かった。

「…チョコレート?」
「そ。食堂に置いてあったろ?」

普通に少佐は答えるけれど、手は確実に淫靡に動いている。

「っ…ん・・そんなのっ…」
「プレート置き場の横にさ、バスケットに入って。コレはビターチョコ。」
そういって、僕の胸の突起を、舌でべろりと舐めまわす。

「ああっ!…んぅ・・」
「ビターなはずなのに、すごく甘いぜ?」
「っやぁッ!!・・・あ・んッ・・・ぅ・・・」

シコり立つ乳首を、痛いほどに舌で転がされ、時には押しつぶされて。
僕はイってしまった。
自分の吐き出したものが腹にある感触で、僕はズボンもアンダーも脱がされていたことに気づく。
僕が荒い息を整えるのに必死な間も、少佐はチョコのミルク掛けも美味いよな、なんてとんでもない言葉を呟いた。

「キラもチョコ、食べたいだろ?」
急に問いかけられて、射精後のぼんやりとした頭では直ぐに返事をすることが出来ない。
しかしフラガ少佐は僕の返事を待たずに、次のチョコの包み紙を破いている。
だから食べさせてくれるのだろうとおとなしく待っていたのに。


「アアッ!…やっ!…んふっ・・」


少佐がチョコを食べさせてくれたのは、その、僕の下の口で。
指と舌を使って、僕の中に塗り込めている。
真っ暗な部屋に、僕の喘ぐ声と、いやらしい水音と、そしてむせ返る程の甘いチョコの香り。
いつもより部屋に響く、ぐちゅぐちゅと濡れた淫靡な音が、僕の理性を吹き飛ばす。
少佐の唾液と、チョコの油分と、とっくに零れはじめている僕の精液がソコへ滴っているのとで、
いつもなら少々の痛みを伴うはずが、今日は感じられない。

「あっ・・んやッ・・・ア・あ・ぁぁ・・・はッ・・」

声を抑えることが出来ない僕に、更に少佐の指が増やされそして激しく中をかき回す。
苦しくて、気持ちよくて、それなのになんだか物足りなくて。
もっと、奥まで。
もっと、熱い、フラガ少佐ので。

「ッ・・・しょ・うさぁッ・・・もうっ・・」

早く来て、と言いたかったけど、どうしても飛ばしきれない恥ずかしさと言う理性が咎めた。
それでも思いを伝えたくて、少佐の腕へと伸ばした手に力を込める。

「…キラ。」
「んッ・・」

少佐の灼けつくような熱いモノが僕に押し当てられた。
ソレはさっきまで僕の口の中にあって、そして今度は僕の中に入ってくるのだ。
そう思うとたまらなくて、僕は少佐に擦り付けるように腰を動かす。
僕の動きに、クスリと少佐が笑った。
そして。


「ッアア---!!」


一気に押し込められた少佐のソレ。
入ってきた衝撃で僕はまたイってしまったけど、
息を整える暇もなく突いてくる少佐に直ぐに僕のモノは勢いを取り戻す。

「あんッ・ア・あ・・・んやッ・・しょ・う・・さッ・・」
「・・キラッ…そんなにっ、締め、つけるなって・・・」

いつもよりも少佐の声が掠れているように思う。
今までにないほど激しく打ち付けられ、体がぶつかり合う乾いた音まで聞こえた。




「しょ・う・・さッ…」
「ん?」
「ぁッ・・・・好・きッ・・」
「!」




キラが、『好き』と口に出していうのは初めてだった。
普段でもなかなか自分の思っていることをストレートに口に出来ないこの恋人が、
この状況下でこんな嬉しいことを言ってくれるなんて。


「っばか…とっくに、分かって、たぜ・・パスワード、でなv」
「あッ・・あんっ・・・好・・きッ・・しょう・・さぁ…アアっ・・」


俺の言葉が聞こえているのかどうかも定かではなく、
ただ『好き』と繰り返すキラ。
俺もそんなキラに体ごと応えてやるべく、
キラの腰を引き寄せると同時に自分自身をねじ込ませる。

「キラッ・・・好き、だ、ぜっ・・・」
「んアアッ------!!!」

キラが自身を解放し意識を飛ばす直前、俺も愛しい恋人の中に愛情をたっぷりと注ぎ込んだ。










*       *       *      *









ちとやり過ぎたか?と
言葉だけの反省をし、傍らに眠る恋人に目を細める。
チョコまみれでは、起きたときに気持ちが悪いだろうと、
体を清めてやりながら、キラのパスワードを再び思い返した。

『M ・ W ・ U』

今まで一度たりとも口に出して呼んでくれた事はない、ファーストネーム。
いつかきっと呼ばせて見せるからな、とキラのこめかみにキスをし、
可愛くて仕方がない恋人を引き寄せ、俺も眠りに就いた。








*      *       *       *



「・・・ん・・・」

頬に当たる吐息に、くすぐったさを感じ、目が覚めた。
目の前にあるのは、大好きな人の胸板で。
体に残る倦怠感はきっと朝になっても治まらないだろうけど、
この人が僕を好きという証拠ならばそれもいいかと、思う。
僕だけのものでいてください、とはまだ口に出して言うことが出来ない。
それでも、貴方は僕のものだという証拠を残したくて、
少佐の腕に囲まれて少し動きにくいが、僕は何とか首を起こす。
そして耳の少し下の柔らかい部分に唇をつけた。








僕の所有である印を刻み込んだことを、貴方はいつ気づくのだろうか。





完。
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長ー。
疲れたです。
この回は以前から書き始めていて、
今日も朝からやっていたのに気づけばもう「ち●まる子ちゃん」始まりましたよ(爆)
「悩める〜」よりハードなエロだった気が…し ま す (怖)
しかもありがちなチョコプレイネタ…(´∀`:あはは。)
パスワード>
単純でゴメンナサーイ。
何度も考えたんですが、やっぱりムウさんの名前しかないなーと。
あーでももう二人が幸せならそれでいーんじゃいッ!ってな感じで、勘弁してくださいm(_ _)m
ではでは、また次作品にてー。
ここまで読んでいただきアリガトウございました。



        


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